雪の中の田麦俣集落 田麦俣の多層民家 山形の冬の風景

冬の田麦俣 雪の中の多層民家 山形の風景冬の田麦俣 雪の中の多層民家 山形の風景 山形県鶴岡市

東京駅から新幹線と車を乗り継いで約4時間、直線距離で約320キロメートルほど北に位置する山形県鶴岡市の山間に、「田麦俣集落」はありました。

かつては山形県東田川郡朝日村とよばれたこの地は、庄内地方から南下して今の山形市に至る「六十里越街道」が通る交通の要衝として栄えたところで、古くから修験道の聖地として知られた出羽三山を信仰する「湯殿山信仰」が室町時代から江戸時代にかけて盛んになるにつれ、宿場町として賑わいを見せたところだといいます。明治時代に入って神仏習合により湯殿山詣が下火になったことにより、往時の賑わいはなくなったものの、明治時代は養蚕が盛んな場所となりました。

この田麦俣集落の家屋の特徴は、山間部にあって土地が狭くまた雪が多い土地柄の為、広い家屋が建てられなかったという事情から、外見からそうは見えにくいものの、内部は二層にも三層にもなっている多層構造の「多層民家」と呼ばれる様式で建てられていることで、上階部分は養蚕のための場所として用いられました。その豪壮で美しい「兜屋根」の多層民家は昭和30年代までは30軒以上も残っていたといいますが、老朽化や少子化、生活スタイルの変化等でその数は激減、今では稀少な存在となってしまっています。保存のために、鶴岡市内にある致道博物館の敷地内に移築されている田麦俣にあった旧渋谷家住宅は、国の重要文化財にも指定されています。

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