小浜神社 秋の福井の風景
小浜神社 秋の福井の風景 福井県小浜市城内
誰しもが名字を持っている現代、特別に珍しい名字、というのでもなければ「同姓同名」の人がいる、ということもそれほど珍しいことではありませんが、今と異なり、名字が武士や貴族などの特権階級の限られた人のためのものであった時代でも、同姓同名の人というのは存在しました。
越後高田藩主、信濃松代藩主を歴任し、出羽庄内藩の初代藩主となった「酒井忠勝(1594年~1647年)」と、武蔵国川越藩の第2代藩主から若狭国小浜藩の初代藩主となった酒井忠勝 (1587年~1662年)もその一例。同姓同名であっても、別の時代を生きたもの同士であれば、混同などもあまり起きなかったと思いますが、ほぼ同時代を生きたこの両人、本拠地となった場所は違えども中央などで間違えが起きなかったのかなど気になるところではあります。(加えて、それぞれ兄弟に「酒井忠重」がおり、さらにそれぞれの六男と四男の名前も酒井忠直と同じです。)
さて、今日取り上げるのは、小浜藩の初代藩主であった酒井忠勝を祀る小浜神社。徳川幕府の老中を務め、清廉潔白で思慮深い名君としてのエピソードが多くある酒井忠勝は、領地である若狭においても善政をしいたと伝えられます。その善政は代が変わった後も続き、歴代藩主らへの恩義と忠心より、明治になって藩祖酒井忠勝を主祭神として祀る神社として建てられたのが小浜神社(小濱神社)です。社殿の造営費用・祭祀の費用などはすべて住民らの寄付によって賄われたことからも、いかに人々に慕われていたかということを表しています。
写真はそんな小浜神社の11月の下旬のある日の光景。均整採れた鳥居やその向こうに見える社殿、手前の石碑や灯籠と、左奥に見える鮮やかに色づいた黄金の銀杏とのコントラストが素敵です。