輪島市門前町黒島の風景 石川の風景

輪島市門前町黒島の風景 石川の風景輪島の伝統的な古い街並み 門前町黒島の風景 「輪島市黒島地区重要伝統的建造物群保存地区」 石川の風景 石川県輪島市門前町黒島

日本各地を旅していると、時折「こんな不便な場所に、これほどの規模でこれほど素晴らしい町並みがあるの?!」と驚かされることがあります。

それは山の中であったり、都市部から離れた海のそばであったりするのですが、少し調べると都市部から遠いだけ、もしくは自分が起点として動き始めた場所から遠いだけの話で、江戸時代、またはそれ以前には人や物の往来が結構あった、ということを知るのです。現代的な感覚で、例えば東京や京都、大阪から、もしくはどこかの県庁所在地から車やバスで向かうと遠い、というだけで、かつては今とは別の流れがあり、人や物もそれらの通り道の各所に集まったり、移動したりしていたということです。

それが最も顕著に表れているのが、北前船(きたまえぶね)のルートとその寄港地として栄えた場所でしょうか。現在の船のように、巨大なディーゼルエンジンを積んでいる訳でもなかった北前船は、当然のことながら航海に時間がかかりました。また風を頼りに運航していたために、風雨が激しくなった時には風待ちをする必要もありました。さらには北前船の大きな特徴として、或るポイントから或るポイントへ荷物を運ぶだけ、ということではなく、ある場所で安い物を仕入れ、また違う場所で高く売る、ということをしていました。それらはコメや塩、酒などの日常生活に必要な品から、反物やひな人形などまで多岐にわたり、実に様々なものを積み下ろし、各所で売買していたのです。

必然的に、北前船が寄稿する港には、北前船とやり取りをする商人をはじめとした沢山の人が集まり、宿なども充実していきます。初めはきっと小さな集落だったとしても、人が集まれば集まるほどに集落は栄えていくのです。

石川県の金沢市から車で1時間半ほどの場所にある「輪島市黒島地区重要伝統的建造物群保存地区」もそんな北前船で栄えた場所の一つです。輪島塗で有名な輪島から少し西南方向へ行った場所に位置します。

「黒島集落」は江戸時代から明治時代にかけて北前船の船主や船乗りたちが暮らし、発展してきました。今でも木造の立派な家が立ち並んでおり、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。

この黒島地区を訪れたのは12月の終わり。時々突風が吹き、はらはらと雪が舞うとても寒い日でした。
今でこそ能登半島の道もだいぶよくなりましたが、かつては能登半島の先端といえば、それなりに行き来するのが大変であった場所です。荒れる日本海を眺めながら運転し、ようやくたどり着いたこの場所に、数多くの伝統的な建物群が並んでいる様はまさに壮観でした。

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