正月の石山寺 滋賀の風景

正月の石山寺 滋賀の風景正月の石山寺 滋賀の風景 滋賀県大津市

京都駅から直線距離で東に約14キロメートル、車で約30分ほどの場所に位置する石山寺は、真言系の宗派の一つ、東寺真言宗の大本山の寺院。紫式部ゆかりの寺院としても知られる歴史あるお寺です。創建は747年(天平19年)で、開基は聖武天皇。華厳宗の僧で、東大寺の開山でもある良弁が如意輪観音を祀ったのがその発祥とされています。

鎌倉時代には源頼朝、江戸時代には徳川家康など、その時代の権力者から寄進を受けたり寺領が認められるなど、日本の歴史の随所にその名が現れる由緒あるお寺として知られますが、中でも紫式部が「源氏物語」の着想を得たのが石山寺に籠っていた時とされるなど、日本の歴史的な文学作品に深いゆかりのある寺として知られ、清少納言の「枕草子」や、藤原道綱母の「蜻蛉日記」、菅原孝標女の「更級日記」などにその名が登場するほか、和泉式部日記にも石山の名が見られます。

写真はそんな石山寺の正月の或る日の風景。小雨がしとしとと降る中、日の丸が掲げられ、門松が飾られた石山寺の東大門はとても静かで厳かな雰囲気を放っていました。源頼朝の寄進によって築かれたというこの東大門は、それより200年前に生きた紫式部が見ることはなかったにせよ、しっとりと落ち着いた参道やその両脇に茂る雨に濡れそぼる木々など、今から1000年ほど前にこれと似たような景色を目にしたかと思えば、少し不思議な気もします。

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