日本の美しい風景 晩秋の武蔵野の雑木林 平林寺 埼玉の紅葉の風景

晩秋の武蔵野の雑木林 平林寺 埼玉の風景晩秋の武蔵野の雑木林 平林寺 埼玉の風景

かつて広大な「野原」「原野」と「雑木林」が広がっていたという「武蔵野」地域。文字通り「武蔵の野」であり、「武蔵国」の山野のことを指す言葉として、古くは「万葉集」に選ばれている東歌にも数首登場していますが、その範囲は幾つも定義があり定かではないものの、だいたい現在の多摩地域から東は隅田川、北は荒川などを境に、東京の足立、豊島、荏原、埼玉の新座、高麗、入間、比企などに至る広大な地域とされています。

そんな「武蔵野」も、人が住み着き、開墾が行われ、人口が増えて集落が幾つもでき、さらに村、町ができ、といった具合に、時代と共に広大な原野と雑木林はどんどんと姿を消し、今や東京は言うに及ばず、東京のベッドタウンであり、もはや東京と変わらないオフィス地域も増え、一大商業地域でもある埼玉の東京に近い一帯も、高層ビルをはじめとしたビル群や建物が林立し、電車や車が数多く走り、かつての「武蔵野」の面影を感じさせる場所はほとんどなくなっています。

そんな中、数少ない「武蔵野」の昔の雰囲気を想起させるような雑木林が今も残されているのが、武蔵野の古刹であり、埼玉の紅葉の名所としても知られる埼玉県新座市の平林寺。臨済宗・妙心寺派の寺院であり、創建1375年(永和元年)という長い歴史を持つこのお寺は、1663年(寛文3年)に岩槻から現在の新座市野火止に移って以来、野火止台地におよそ13万坪といわれる広大な境内を持ち、その中には武蔵野の雑木林も含まれていたことから、住宅地や道路、田畑などへの開発、開墾を免れ、今も武蔵野の面影を感じさせる雑木林が残されているのです。

写真はそんな平林寺の雑木林の一角に設けられた遊歩道の晩秋の夕暮れの風景です。斜めに射す夕方の優しい光が、武蔵野の木々の間をすり抜け、雑木林から落葉した数え切れぬほどの赤や黄色の落ち葉にあたり、きらきらと輝いています。晩秋の冷たい風の中、心も身体も冷えかかっていましたが、心の中がほんわかと温かくなるような柔らかな日差しでした。

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