日本の年末の風景 田子の浦港 静岡の風景
日本の年末の風景 田子の浦港 静岡の風景 静岡県富士市前田
「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける(田子の浦に うち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ)」で知られる「田子の浦」は、駿河湾の西側の沿岸を指し、静岡県の静岡市に位置します。
この歌が詠まれた8世紀の「田子の浦」がどんな場所だったのか(そもそも正確な場所は不詳で諸説ある様ですが)、そこから見た当時の景色はどんな風景だったのかは想像するしかありませんが、雪を抱く富士山の秀麗な姿を知っている人であれば、人工物がほとんどなかったであろうかつての海岸から見た富士山の姿がどれほど美しくかったことか、想像に難くありません。
今でもその当時の風景を想像できそうな場所としては、世界遺産にもなっている「三保の松原」が挙げられるでしょうか。人工物はどうしても目に入ってしまうものの、よく晴れて雲がなければ「松の木々と富士山と青空と海と砂浜」といういかにも日本的な美しい景色を目にすることができます。
ところで現在「田子の浦」という名は静岡県富士市の沿岸にある「田子の浦漁港」やJR東海道線の「東田子の浦駅」に残っています。和歌に詠まれた「田子の浦」が「田子の浦漁港」から見ると西側にあたる由比や蒲原周辺とされているのに対し、だいぶ東寄りに「田子の浦」の名が残る理由は不明ですが、一つ確実なことは現在の「田子の浦」の漁港からも美しい富士山が見えるということ。特に田子の浦漁港の右側にある高台は「富士と港の見える公園」として整備されており、空気の澄んだ冬などには大変美しい富士山の姿を目にすることが出来るのです。
写真はそんな田子の浦漁港の年末の風景。来る新たな年の豊漁と漁の安全を願って大漁旗が飾られた港ならではの大晦日の風景です。