雪の赤岩 群馬の風景
雪の赤岩 群馬の風景 群馬県吾妻郡六合村
群馬県北西部の吾妻郡に位置する中之条町は積善館で有名な四万温泉をはじめ、沢渡温泉(さわたりおんせん)、花敷温泉、京塚温泉、尻焼温泉といった名だたる温泉が点在する温泉王国。そんな中之条町の南西端、尻焼温泉や花敷温泉のすぐそばに位置するのが「六合赤岩(くにあかいわ)」です。
江戸時代には麻の栽培が盛んであったこの六合赤岩、幕末頃には他の上州の地域同様、貴重な現金収入源として養蚕が盛んとなったといわれ、表通りを中心に今も伝統的な建築様式の養蚕農家や蔵などが数多く残されており、「赤岩重要伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されているのです。
写真はそんな赤岩の冬の雪の季節の風景です。豪雪地帯にも指定されている「吾妻郡」にある六合村は、取材で訪れたこの日、「大雪警報」が発令されていたこともあり、いつもに増して積雪があったようで集落の人々も懸命に雪かきをしていました。それでも後から後から降ってくる雪は、まるで意志を持っているかのようにすべてのものを白く包んでいきます。築数十年以上を経て、今では完成当時とはまるで異なる世の中となり、その意味合いも用途も随分と変わってしまって、遅かれ早かれ取り壊しや朽ち果てていく運命にあるのかもしれない美しい木造建築達が、今しばらく、この雪が降り積もった時の美しさのように、後世にその美しい姿をとどめてくれたらなと願ったのでした。