日本の鉄道風景 京阪京津線が走る風景 滋賀の風景
プラレールやNゲージが大好きな子供が見たら、さぞかし興奮して大喜びする風景でしょう。札幌や函館、富山、高知、愛媛、広島、長崎、鹿児島などなど、日本各地に路面電車は走っていますが、京都府京都市の「御陵駅」から滋賀県大津市の「びわ湖浜大津駅」までの約7.5キロメートルを結ぶ「京津線(けいしんせん)」はいささか特別です。写真の通り、専用軌道を走るような「長い車両」が車やバスと垣根無く並んで走るのです。
通常、「路面電車」「市電」と呼ばれる、車などと同じ道路に敷かれた併用軌道を走る電車は、専用軌道を走る電車、汽車、列車に比べて短めに設計(例えば中央線や京浜東北線、埼京線などに使われているJR東日本E233系電車は全長20メートルであるのに対し、チンチン電車とも呼ばれる都電の7500形は12.5メートル、8800形は13メートル)されており、小回りが利き、営業運転の際も1両もしくは2~3両編成で運行されます。
それに対して、こちらの京津線、全長が16.5メートル(800系電車)の車両が4両連なって、専用軌道を走る在来線のようなスタイル、見た目、インパクトで併用軌道を走るのです。「鉄道ファン」「鉄道マニア」の人たちには全然及びませんが、それでも旅愁や哀愁、ドキドキ、ワクワクの対象として鉄道好きであり、各地で車両、電車、汽車、列車、路面電車を見てきた経験をもってしても、初めてこの光景を目にした時は、度肝を抜かれてしまったのです。それも、事前に「専用軌道を走るようなスタイルで併用軌道を走る路線がある」という情報を持っていたわけではなく、レンタカーで京都を目指していた時、大津の町に差し掛かり、信号待ちをしていたら突然隣にぬっと現れたので、かなりびっくりした覚えがあります。
この京津線ですが、併用軌道を走るのみならず、地下鉄内も走っており、さらに最大61‰(パーミル・・・1000メートル進むと61メートル上がる坂道の勾配)という急勾配の区間も走っていて、そのすべてを直通で運転しているのはこの京津線のみなのだそう。それゆえ、急カーブや急こう配に対応するような機能を兼ね備えた車両を用いていて、全長も在来線の車両よりも少し短めに設計されているそうです。