雪の中のキタキツネ　北海道の風景

本州では春の足音が聞こえる三月ですが北海道はまだまだ雪に覆われているところも多いのです。ある年の三月下旬、札幌から美瑛に向かって走っていると、雪の中で何かが動くのが目の端に入りました。路肩に車を止め、目を凝らすとあちらも動きを止め、こちらの様子を伺っていました。それは雪の中のキタキツネでした。餌を探している最中なのでしょうか。それとも自分の寝床に戻る途中なのでしょうか。しばしこちらを見ながらじっと固まった後、また駆け出して行きました。

北海道を旅する人にとっては、暖かな車の中から眺める雪景色は美しくても、野生の生き物には過酷な環境に違いありません。それでも逞しく生きている姿は、命の美しさと力強さを感じるものでした。